密教2166 【葬儀の意味②】

過去に何度も観て来たが、遺体が涙を流す現象が有るが解剖学的に言えば様々な原因が考えられるが、其れでも不可解な現象が有るのも事実である。

例えば、全ての処理を終えて死化粧を施す時点では眼は瞑目し口は閉じて居る。

其れが翌日に成り、涙を流し絶叫したが如く開口する遺体を見た時に、割り切れない感情を禁じ得なかった。
その遺体の遺族は通夜も葬儀も行なったが、全くの無関心でただ世間体をつくろう為に仕方なく行なって居る感は、察しが付くであろう。

今迄に僧侶として数々の葬儀を担当して来たが、年々、葬儀の在り方が希薄に成って居る様に感じられるのである。
極論を言えば、心が無い葬儀を嫌々行うので有れば火葬だけをすれば良い。

遺体の火葬は衛生法に依り定められた法令であるが、葬儀の有無は定められて居ないのである。
死者が悲しみ憐れみを感じる様な葬儀様式で有れば、やら無い方が良い。

死後に意識が存在し無い、死んだら終わりと真剣に信じて居る人は、そのまま行かれるが良い。

敢えて否定する氣は、私には無いからである。

【葬儀は死者の氣づきの場】
考え方はどうあれ、死後に意識がある事は揺るがし難い事実であり、死者に死を理解してもらう事は死後の世界にいち早く馴染む事に成り、死者の其の後に大きく影響する事に成るのである。
密教では古来依り葬儀の方法、次第、作法が事細かく【引導作法】、決められて居るのである。

死後には肉体が無い分、様々な感覚が鋭利に成り、生きている時には感じられ無かった感覚に戸惑う事に成り、返って困惑を招く事に成り易いのである。
【死後の感覚については悪意の模倣を防ぐ為に割愛する】
従って、自らの死を理解せずにそのままで在れば、高い確率で迷い浮遊すると考えられるのである。

上記は、故人を安らかに旅立って頂く為の初歩的な方法論であり、これ以上を希望される方は専門智識を有する僧侶に相談する事をお勧めします。

南無大日大聖不動明王尊
蓮華合掌
金剛山赤不動明王院
院主　永作優三輝

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