密教1854 【宝剣と鬼切り刀】

密教に見られる法具は、元は古代インドの武具や手術道具が変化した物である事は、多くの方々もご存知の通りだが、日本に密教が伝わり独自の進化を遂げたのも事実である。
長年、武具甲冑や日本刀、剣の鑑定をして来た中で驚く様な逸品にも対面し所蔵もして居る。

中でも両刃剣の存在は、希少である。

その昔、都に魑魅魍魎が闊歩し疫病や災厄をもたらし、人心を震え上がらせて居た時代に名匠と言われる刀鍛冶に命じ打ち上げられたのが、俗に言う鬼切り刀であり、その後、様々な仏刀、神刀が作られたのは言うまでも無い。
現在、当院が所蔵する不動明王剣や摩利支天刀、鬼切り丸は他に類を見ない名刀である。
【全て銃刀法の登録済み】
刀身には不動明王梵字を刻み、鍔には八卦を拝した妖刀村正の作である。
神に遭っては神を斬り、魔物に遭っては魔物を斬ると言われる。

正に、妖刀と呼ばれる所以である。

一般的には余り観る事は無いであろうが、密教の加持祈祷に於いては、宝剣を使用する事は珍しく無いのである。
例えば調伏法に於いては、欠かせない法具の一つに数えられるほどである。
調伏法は前にも書いたが、平将門の調伏はあまりにも有名だが、エクソシズムいわゆる悪魔払いの呪術も調伏法である。
また宿敵や裁くに裁け無い悪人を呪殺する事にも、使う場合がある。

古来より密教では勅命を賜わり、怨敵退散や悪霊退散と言った調伏法を厳修する事が多々有ったと、師僧から伝え聴いて居ります。
その関係上、拙僧も調伏法を謹修出来ますが、よほどの事情が無ければお断りしております。
調伏法とは、正に必殺の秘法である。

此処では語らないが、皆さんが聞けばあれもそうだったのかと驚く様な事例も多々あります。
【詳しくは、今後の密教塾にて明かして参ります。】

この他には増益法も密教の秘法であり、かなりの確率で成就して居る事も言うまでも無い事実である。
密教の秘法を大別すれば、先ず敬愛法、息災法、増益法、調伏法の四種だが、この秘法の威力は凄まじくゆえに、簡単にお受けする事が出来無いのである。

南無大日大聖不動明王尊
蓮華合掌
金剛山赤不動明王院
院主　永作優三輝

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