密教1786 密教僧の経験談【憑依の連鎖】

今回は、私が知る悲惨な事例を紹介しよう。

時は昭和のバブル期、私は名古屋に居た。

皆バブル景気に酔いしれて、異様な状況にあった。
その頃の私は相変わらずの貧乏僧侶、バブルなどに縁など無い。

其処に名古屋でも老舗と言われる店の店主が、相談に訪れたのである。
その相談とは、跡取り息子の事についての相談である。
その息子は、甘やかされて育った。

世間で云うぼんぼんであり、世間知らずの若者である。
酒を飲んで車を運転し車を廃車にし、幸いな事に自損事故だったからまだ救われるが、人身事故で有れば大変な事に成る所である。
その息子がある日突然に人格変異を起こし、病院で様々な治療を施したが思わしく無いので、私に頼みたいと云う依頼である。
その時に私が視たものは、だらけ切った低級霊の憑依である。
私は開口一番、その息子に一週間家から出る事を禁じたのである。
何故か？

一週間有れば憑依を抜き、次の憑依を防ぐ事が出来るからである。
家人にもキツく申し伝え、私はその日から祈祷に入り、祈り続けた。

明日で満願を迎えるその夜、在ろう事か祈祷を依頼して居る本人が、夜の街に遊びに出てしまったのである。
それだけならまだしも、警察に逮捕され【傷害事件】本人は留置場の中である。

呆れ果てた、乱行である。
その後に両親が謝罪に来たので、再度の祈祷を頼まれたが保留し、本人が釈放される迄待つ事としたのである。
釈放された本人が両親に付き添われて来た時に、私が視たものは前より酷い低級霊の存在である。
当然だが、本人に反省を視る事は出来無かったのである。
私は、本人と両親に告げた。

次にまた同じ様な事を起こせば、破滅が待って居ると。

そして次の祈祷開始日を決め、お帰り頂いたのである。

そして祈祷日を前日に控えた夜、また問題を起こしたのである。

今度は、麻薬売買の現行犯逮捕である。

さすがに呆れ果てたので、全ての祈祷をお断りしたのである。
その後に老舗の店も倒産し、一家は離散どう成ったかは分からない。
誰にでも言える事だが、甘え、怠惰、傲慢な心を持ち続ければ、結果は憑依を呼び更なる悪霊を導き、憑依の連鎖はとどまる所を知らず、破滅の坂を転がり落ちて行くのである。
【幸せを呼び込むコツは、學びにあり。】

南無大日大聖不動明王尊
金剛合掌
金剛山赤不動明王院
院主　永作優三輝

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