当院は、密教の祈祷専門寺である関係上、仏像の開眼供養を頼まれる事が多々あるが、昨今紛い物をつかまされる方が増えて居るのである。その中で一番多いのが、聖天像である。そもそも仏像とは、経典に書かれて居る思想と理念の具現化であり、其処には美と荘厳さが不可欠である。
そして最も大切な特徴は、慈悲の眼があるか無いかである。
難しい仏像の体型や持ち物その他は、素人の方では覚える事も大変であるが、眼に集中して選ぶ方法を熟知すれば間違う事も減るで有ろう。
聖天像は、理趣経の理念が具現化されたと言っても過言では無い。
正に、愛こそ力の源であり安心立命に繋がるのである。
昨今、聖天像で一番多いのが拝むに値しない下品な仏像が、多く出回って居る。
聖天像はその性質上、愛を具現化された尊像であるが粗悪品は性的面を強調し過ぎて正に下卑た姿に作られる事が多々あるが、それは聖天尊に対しての冒涜である。
聖天尊像は抱擁する御姿にも貴賓があり、愛を感じるもので無くてはならない。
眼は慈悲を表し御姿は麗しく貴賓に満ちてこそ、礼拝する者の心が洗われ、愛を理解する事が出来るのである。
然るに性的面を著しく表現された聖天像では、性的欲求を掻き立てるばかりか欲望を助長し本来の教えから遠ざける要因と成り、
本質をも曲解する事に成りかねないのである。
聖天尊に信仰を寄せられて居る方々は、呉々も惑わされ無い様に用心が必要である。
当院の聖天本尊仏を公開出来無いのは残念だが、興味本位で観るものでは無いので当然と言えば当然と言え様。
しかし心ある人には、真の聖天尊像を観て頂きたい。
そして、感じて頂きたい。
聖天尊の素晴らしさを、慈悲深き御姿を、正に平和を愛する教えそのものである。
南無大日大聖不動明王尊
蓮華合掌
金剛山赤不動明王院
院主 永作優三輝
