悲しい二人の想い
この話は、私がまだ、四十代の頃の出来事です。
いつものように、一般の方々のご祈祷が終わり、休憩に入ろうとした時、
一人の女性に声を掛けられ、立ち止まると、何やら、言い出し辛そうにされているので、
私は察して、相談室にお連れして、お話を伺うことにしました。
まずは、温かいお茶を飲んで頂き、ゆっくり伺うことに。
女性は、初めは躊躇していたが、次には、はっきりした口調で、話してくれました。
長年、決まった月日が訪れると、悲しく辛い想いに苛まれ、どうにもならないと言う内容でした。
私が霊視すると、彼女の前世が絡む、想い癖が原因であることが解り、
この場での供養は無理と判断致しました。
然るべき方法をとることに致しました。
それは、降霊であります。
女性に了解をとり、日時を決め、決行することにしました。
私は信頼できる審神者と立会人を頼み、そして当日、彼女側の立会人が二人と私を含めて総勢六人で開始です。
録音機とビデオを設置し応接間で、いよいよ開始です。
テーブルを囲むように座り、降霊前の約束事を済せて、降霊。
審神者の証言を後で聞くと、次のとおりでありました。
男性の霊が現れ、彼女を探していたのです。
数十年前に、別れ別れになり、探していたのです。
その相手が、彼女なのです。
正確に言えば、彼女の前世の事なのです。
彼は、彼女の事が忘れられず、現界を探し求めていたのです。
しかし、彼女は生まれ変わり、現在に至るのです。
長時間にわたる降霊も終わり、後日、寺で二人の霊を慰める法要を営み、
彼は、自分が、もはや、生者ではないことを理解し、迎えに来た彼の縁者と共に、霊界に還られました。
その時に、交わした約束が、彼女の寿命が尽きたその日には、自分が迎えに来ると言い、静かに、還って行きました。
人の世は、正に諸行無常
執着する心が、起こした出来事でした。
後に、私自身が、同じような出来事に、遭遇するとは、この時には、知る由もありませんでした。
南無大師遍照金剛
蓮華合掌
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