私は、あまり調伏祈祷は好きではありませんが、必要と判断した時は迷い無く厳修致します。
以下は、その一例で御座います。
或るご夫婦が、私の寺にお出でに成られました。
お話を伺いました。《以下は、その時の事》
一人娘のお嬢さんが、突然意味不明な言動を発する様になり、困って居るとの事でした。
私はまず、専門医の診察を勧めました。
後日、診断結果を携え、ご夫婦は再度私の寺にお出でに成りました。
結果は、疲労に依るものだそうである。
ご夫婦は、専門医の診断に納得されておりません。
娘さんは、何時もは普通に生活をして居るが、突然意味不明な言動を発すると仰いました。
私は、娘さんに会う為にご自宅に行く事にしました。
私が見たものは、娘さんの部屋にある様々な道具と本。
それは、黒魔術、まじない、降霊術の本である。
娘さんは興味がこうじて、実際に自分で試したく成り始めたのである。
これは非常に危険な事であり、興味本位でやればとんでもない事態に発展することがあります。
黒魔術やまじないの類いは、方法論が間違って居てもツボに嵌まることが多々あります。
その結果、低級霊に憑依されて人生をメチャクチャにされた実例を、私は数多く視て来ました。
或る人は精神に異常を来たし、或る人は自殺に追い込まれ。
或る人は事件の犯人と、様々に翻弄されて、取り返しの付かない事態に陥りました。
私は、解って居ても手出しは出来ません。
何故か?
依頼もされて居ない人に、あなたには低級霊が憑依して居ると言えば、私自身が狂人扱いされるからです。
《本題に戻ります》
娘さんの部屋で発見した数々の物を、ご両親の了解を得て焼却し、いよいよ娘さんの祈祷である。
祈祷中、娘さんは意識を失い、お母様の腕の中。
私は、一心を込めて調伏法に入り、気付けば夕方に成って居ました。
娘さんは意識を取り戻し、ご両親と三人で帰って行かれました。
拙僧からの提言です。
真剣な修行もなく、安易に手を出してはいけません。
安易なものは、所詮、中身の無い結果を招きます。
素人考えで遣れるほど、この世界は甘くありません。
本気でやりたい方は御自分で探し、指導者を見定める事が最も肝心なのです。
南無大日大聖不動明王尊
金剛合掌
金剛山赤不動明王院 院主 永作優三輝