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密教256 かあさんの下駄

私が尊敬する日本画家の〇〇氏は、腕と足がありません。
口に筆をくわえて、見事な素晴らしい日本画を描かれます。

それはまさに芸術であり、観る人に感動を与えます。

今は亡き〇〇氏から伺った話しを、尊敬を込めて書かせて頂きます。
氏の幼い頃の家は、貧しい農家でした。
それでも、正月にはお母さんが、新しい下駄を用意してくれ、氏は嬉しさに飛び回りました。

母は、そんな我が子を愛おしく、見守って居られました。
氏は、その下駄をかあさんの下駄と呼び、大切にしました。

或る雪の日。
電車の踏切を渡るとき、雪で、線路の溝も解りませんでした。
何時も、歩いて渡って居る線路。

その日も、何時もと同じように渡れるはずでした。
しかし、誤って線路の溝に下駄が挟まってしまい、如何やっても取れません。

今考えれば、下駄を諦めれば良かったのですが、かあさんが苦労をして買ってくれた下駄。
諦める事など、出来るはずがありません!

子供の力で、必死に取ろうと頑張って居た所に電車がやって来て、少年の両腕と足は轢断されてしまいました。
医師が止血をしましたが、当時の医学は今の医学とは比べものになりません。

結局、腕と足は壊死し、腕と足は付け根から切断し、ダルマのような姿になってしまいました。
お母さんは嘆き悲しみ、親子心中を図ろうとも考えたそうです。

氏は、幼い頃から絵の才能があり、優しい少年でした。
お母さんは、筆の持て無い氏を後ろから支えました。

そして氏に、『 口に筆をくわえて描いてごらん。』と言いました。

墨を程よく漬け、氏の口に。

氏は首を動かし、必死に挑み続け、その後、立派な日本画家に成られました。
生前の氏は、私の絵は母と二人の絵と仰られ、数々の作品を残されました。


南無大日大聖不動明王尊
蓮華合掌
金剛山赤不動明王院 院主 永作優三輝



by kongousan-akafudo | 2016-07-19 06:00 | 赤不動明王院通信
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