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密教608 慈愛

ある一組のご夫婦は、愛し愛され結婚。

その結婚生活は、正に夫婦愛そのものでした。

やがて二人の間に、神仏の加護があり、お子さんが授かりました。


二人は、子供の将来を夢見て語り合い、どうかこの子が丈夫に育ちます様にと願いを込めました。

しかし、運命は過酷でした、一年後、奥さんは、癌を患い他界されました。


ご主人は、嘆き悲しみ、生きる気力を失い掛けた時、

私の相談室に御本人からお話しがありました。

私は誠心誠意、対応させて頂きました。

御本人は、納得され、今は亡き奥さんの忘れ形見であるお子さんと

毎日を力強く生きておられます。

私は、込めて祈ります、この親子に幸多かれと。


以下は、今昔物語の一節であります。

ある村に真面目な青年が居りました。

青年には心に秘めた女性が居りますが、村や近隣で評判の美人で気立ての良い娘であります。

青年は諦められず悶々としながらも仕事に汗を流して居りました。

村祭りの夜、青年は意を決して女性に告白しました。

そして見事に返事を貰いました《あなたの妻にして下さい》

青年は天に昇る様な喜びである。

そして婚礼、青年は男になり、前以上に働き妻を大切にしました。


そして瞬く間に一年が過ぎた頃、妻は流行り病を冒され死んでしまいました。


男は嘆き悲しみ仕事も手に付きません。

毎日、毎夜、考えるのは美しい妻の事ばかり。


ある夜、男は如何しても妻に逢いたい気持ちが抑えられず、

気がつけば妻の墓の前、男は夢中で妻の墓を掘り起こしました。


棺桶の蓋が見えた時、男は我にかえりましたが、

美しい妻に逢いたい気持ちが抑えきれず、棺桶の蓋を開けてしまいました。


そして美しい妻の顔を見た瞬間、ぅわ〜と声を上げ驚きました。


あの美人の妻とは似ても似つかぬ姿に男はその場に尻餅を付き、涙しました。


腐り果てた妻の亡骸を見て男は、この世の無情を感じ、

その足で寺に入り出家し修行の道に入りました。


そして、雲水に成り諸国を行脚し妻の菩提を終生祈り続けたそうであります。


南無大日大聖不動明王尊
蓮華合掌

金剛山赤不動明王院 院主永作優三輝


by kongousan-akafudo | 2017-08-03 06:00 | 赤不動明王院通信
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