昔、或る農村に、一人の真面目な青年がおりました。
両親を幼い頃に亡くした青年は、村人に育てられ、やがて村の為に働く立派な大人に成りました。
或る日、青年は絶世の美女と遭遇し、いっぺんで好きに成ってしまいました。
畑仕事も手につかない有り様。
来る日も、来る日も、女性の事が頭から離れませんでした。
そして、或る日。
野良仕事の帰り道、草履の鼻緒が切れて困っている、あの美女に逢ってしまいます。
青年は、持って居た荷物を放り投げて女性に駆け寄り、自分の手ぬぐいを切り、鼻緒を直して無言で立ち去りました。
そして、自分の情け無さに食事も喉を通りませんでした。
何日かした或る日、あの美女が青年の家に尋ねて来たのです。
何時ぞやは、本当にありがとうございます。
貴方様は、名前も言わずに行って仕舞われたので、何処の誰とも解らずお探し申し上げておりました。
男は、天にも登る心持ちである。
そしてこれを境に、二人は恋に落ち、やがて結婚し、しあわせな生活は夢のようです。
男は身を粉にして働き、女房を大切に大切にしました。
瞬く間に一年が過ぎた頃、女房は流行り病に倒れ、死んで仕舞いました。
男は嘆き悲しみ、来る日も来る日も、女房の事を考えては泣き暮らしました。
しかし、あの美しかった女房の事が、如何しても忘れることが出来ません!
逢いたい。
もう一度だけでも、逢いたい。
あの優しく、美しかった女房に、逢いたい。
そんな事は出来ないと解って居ても、逢いたい気持ちは収まりません!
ある夜、男はクワを担ぎ、あの優しく美しかった女房が眠る墓の前に立って泣きました。
男は、もう何が何だかわから無く成るほど、死んだ女房に逢いたい!
墓を掘り起こして、女房の棺桶の蓋を開けた瞬間...?
男は、声にならない叫びを上げました。
あの美しかった女房の姿は、見るも無惨な蛆の湧いた白骨に変わって居たのでした。
男は世の無情を感じ、出家して僧侶に成り、女房の供養の為に全国の霊場を尋ね歩き、供養に一生を終えました。
形ある物に、永遠はありません。
何時かは、朽ち果てます。
執着心を捨て、込める生き方こそ永遠に繋がる道である。
南無大日大聖不動明王尊
蓮華合掌
金剛山赤不動明王院 院主 永作優三輝
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