密教では、加持祈祷があります。
また、加持祈祷の事を御加持とも言います。
密教の加持は、時に依り天部の仏を召喚致します。
但し、召喚する仏の好み、癖、禁物を知らずに行えば、大変な事に成る事は当然の理であります。
例えば、聖天尊を召喚する時に、最低線必要な決め事が御座います。
それは、不浄を、全て排除する事です。
身は斎戒沐浴をし、肌着、下帯に至るまで全て新品に交換し、法に臨みます。
供物も、特殊な物を揃えます。
最も重要なのが、檀で御座います。
聖天檀を正式に誂える場合、いったい、おいくら位掛かるか、皆さんはご存知でしょうか?
答えは、良いマンションが買える程のお金です。
まず、檀は蓮華彫り丸台、丸形聖天厨子、各種密教法具、が必要です。
それから、浴油檀、天蓋、法座、供物、極めつけは、十一面観音像が必要不可欠であるのです。
何故、十一面観音像が必要なのか?
十一面観音像無くしては、聖天尊が暴走する危険がある為なのです。
聖天尊を唯一静止出来るのは、十一面観音尊しか無いからなのです。
聖天尊は、単体では、《男神》ガナバチ、ガネーシャ、非常に荒い神であります。
元は荒神であり、悪神だったのです。
性質は、父母の、シバ、パールバディの荒さを凌ぐ、暴れ者なので御座います。
その暴れ者を善神に導き、人間を守護させられるのが十一面観音菩薩だけなのです。
従って、聖天尊を召喚する時には、十一面観音菩薩の御力が不可欠なので御座います。
この様に、天部の仏を召喚する事は、様々な特性を知る者で無くては出来無い事がお解り頂けたと思います。
密教にも古神道にも、神仏を召喚する際には、古来依り厳格な決め事があるのです。
南無大日大聖不動明王尊
金剛合掌
赤不動院 院主 永作優三輝
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